優しく抱きしめられて、ドキンと胸が高鳴った。 「十分だよ、ありがとう」 「え、し、織くん……」 「それよりこれ、開けてみて」 テーブルに置かれた箱を、織くんが再びあたしの手に乗せた。 「う、うん」 なんだか緊張して、震える指で箱を開けると。 「……こ、れ」 箱の中には、真ん中にハートの模様があしらわれた、シンプルなシルバーリング。 「紗英子さん、これからもずっと俺の隣にいてくれる?」 そう言われた瞬間、あたしはの瞳から涙がこぼれた。