チュッ、とあたしの唇に一瞬唇が触れた。 目の前には織くんの照れた顔。 ――え。 「紗英子さん、お願いだからあんまり俺を煽らないでよ」 「え、え、あの……」 「はぁ。ほら、行くよ」 スッと優しく手を引かれて、織くんの隣を歩く。 「しっ、織くん」 「ん?」 「キ、キス、ありがとう」 したいって言ったらしてくれるなんてさ。 織くん本当にしてくれるんだもん、優しすぎるんだよ。