「紗英子さん」 日誌を書いていたあたしに聞こえた、織くんの声。 あぁ、好きすぎて幻聴まで聞こえ出しちゃった。 もうっ、あたしったらっ! 日誌に書かれた文字は、次第にハートマークに変わり……。 織くんを思うあまり、筆の誤り。なんちて。 きゃああ! 「さーえこさん」 目の前には、織くんの綺麗な顔。 ――え。 「きゃあああっ」 あたしのバカみたいな大声に、クラスのみんなが注目する。 そして聞こえた黄色い声。