その言葉が好きな人への言葉としても、幼なじみへの言葉としても。 今の俺では曲がった感情しか生み出せない。 ……そんな台詞、言われてもなぁ。 「多部先輩こそ、仲良くし過ぎないでください」 「えっ?」 「紗英子さん、俺の彼女なんで」 だからやらねぇよ、紗英子さんは。 多部先輩の顔を見ることなく、その場を去る。 すいません、多部先輩。 何も考えられないほど、紗英子さんのことが好きみたいです、俺。 ……心の中でそんなことを考えながら。