朱音はすごいな。 自分の気持ちに嘘はつかなくて、自分のしたいように行動する。 面倒くさくならないように、朱音以外の女の子の前で冷たく接する俺とは大違いだ。 優しくするのは紗英子さんさんだけでいい、なんて俺はバカなのかな。 ――紗英子さんに会いに行こう。 3年生の階に着く前の渡り廊下で、女の子の声が聞こえた。 「好きです!」 告白?盗み聞きは趣味じゃないんだよな。 早く上がろうと足を速めた、そのとき。