「さっき、紗英子先輩に会ったよ」 紗英子さんの名前が出てきて、思わず朱音を睨む。 「……紗英子さんに何かしたら、朱音でも許さないけど」 すると朱音は、可笑しそうに笑った。 「ふふ。何もしてないわよ」 ふーん、そう。 朱音から再びノートに視線を落とす。 「じゃあ何で会ったの?」 「紗英子さんがあたしの心を、助けてくれたの」 ――え?