「さ、紗英子でいいよっ」 「じゃあ、紗英子先輩。あたしそろそろ行きますから」 「あ、うん」 すると、トイレから出て行こうとした朱音ちゃんが振り返った。 「さっきはありがとうございました」 「ううん、全然」 「……織のこと、お願いします」 「え……っ?」 今度は振り返ることなく、朱音ちゃんは歩いて行く。 そのまっすぐした背中は、なんだか輝いて見えた。