「……別に本当のことじゃん」



「ねーっ。行こ」



一瞬にして会話が消え、そんな言葉とともに足音が遠くなっていく。



行っちゃったのかな。



朱音ちゃんを見ると、ギロッと睨まれた。



「……あ、あの」



「あなたにこんなとこ見られたなんて、最悪ですよ」



――え?



はぁ、とため息をついて、朱音ちゃんはトイレを出て行こうとする。



えっ、ちょっ……!



「ちょっと待って!」



すれ違う腕を、思わず掴む。



「……何ですか?」



「あの、その……ごめんなさい」