「楠先輩聞いてます?……あ、あの子は朱音(あかね)ちゃんっていうんです」 あたしの視線に気づいたのか、隣の女の子が教えてきれた。 「朱音、ちゃんっていうんだ……」 「はい。緒方くんの幼なじみで、いつも隣にいます。サッカー部のマネージャーもしてるから」 「へ、へぇ」 近いね、いつも隣にいるんだ。 それって、あたしなんかよりずっとだね。 「だから女の子で話すのは朱音ちゃんくらい。緒方くん、普段は男の子以外と話さないんですよ」 「え、そうなの!?」