「織くん、ありが……」 言い終わる前に、抱きしめられた。 ――へ。 「しっ織くん?」 「はぁー……びっくりした。心臓止まるかと思ったよ」 耳元で聞こえたのは、そんな言葉。 「えっ?なんで?」 「なんでって、紗英子さんのせいだよ」 「へっ――……」 コツン、とおでことおでこがくっついた。 すぐそこに、織くんの綺麗な顔。 あぁ、睫毛長いな。 二重で綺麗な目……じゃなかった。