「はぁ、バカ紗英子さん」 「えっ――?」 はぁ、とため息とともに抱きしめられた。 わわわ、ここあたしの家の前なのにっ! 誰かに見られたらっ! あたしはいいんだけど。 ……いやむしろ見せつけたいくらいなんだけど、一応ねぇ? 「し、織く……」 「俺がさみしいの。紗英子さんの、鈍感」 「ふぇ……!?」 びっくりしちゃって、マヌケな声を出しちゃうあたし。