「ただいまー」 いつものように玄関を抜け、廊下を歩いてリビングに行く。 「おかえりー紗英子」 「おかえり」 そこにはいつも、夕飯を作るエプロン姿のお母さんがいて。 今日は仕事が早く終わったのか、ソファに座ってコーヒーを飲むお父さんがいた。 「今日はねオムライスよ。紗英子好きでしょう……」 笑ってあたしを見たお母さんの顔が、固まった。 お父さんも同じく。 2人の視線は、あたしの後ろに集まった。