その時、一陣の風があたしたちの間を吹き抜けていった。


「きゃっ!」


イタズラな風は、あたしのスカートをめくろうとする。

あたしは、必死でスカートを端を押さえた。

そのかいあって、スカートがめくられるのはなんとか阻止できた。



でも……



「あーっ、地図が!」


そう、地図は風に乗ってヒラヒラ舞い上がっていった。




(あたしの寂しい気持ちと一緒に宙を舞う……)




「……何て思っとる場合じゃなーい!」


あたしは叫ぶと、慌てて地図を追いかけた。

そんなあたしを嘲笑うかの様に、地図はどんどん飛ばされていく。


「ちょ……ちょっと……ちょっと待ってよー!!」


大きな声を出しながら、あたしは逃げていく地図を追いかける。

当然ながら、地図から答えは返って来なかった。