【川崎side】




…………












静まり返った教室に溶けていく


谷ヶ崎の小さな声。



















「……好き」

















…………



す、き…………?













聞き間違い

あるいは自分に向けられた言葉ではない











そう思うと急に熱が冷めていく。












でも。














谷ヶ崎の言葉で



再び顔が熱を帯びるのがわかった。













「………川崎のことが、好きです」













…………




うそ…だろ…


















だって


好きな人がいるからって









…そう言ったのに。
















もうこの気持ちに











鍵をかけたつもりだったのに。












その鍵はすぐに壊されて










いろんな感情が溢れ出す。











「…っ」












気がつけば







頬には








抑えていた涙が流れていた。





















やばい。









涙を流すのが女々しいとか


そんなことはほおっておいて。

















今は純粋に嬉しくて。












でも泣き顔を見られていると自覚して






急に恥ずかしくなって。


















「…いやっ、その…これは…」






必死に涙を拭って


谷ヶ崎に近づく。

















「…俺も好きです。…付き合ってください」





谷ヶ崎はしばらく下を向いて答えた。










「っ…はいっ」











谷ヶ崎も涙を溜めていたのか

座り込んで泣き始めた。











俺はそんな谷ヶ崎が愛しくて


優しく抱きしめる。























…やばい、また泣きそう。

















俺のーーー


四年間の片思いが実った瞬間だった。