そんな俺をよそに彼女はクスッと笑いながら。
「梓です。谷ヶ崎梓」
彼女の声は透き通るようで。
この瞬間がスローモーションのように
感じられた。
………
っは。
聞き惚れてしまった。
くそ…///
「…えっと、俺は…」
「あーずちゃーん?」
俺の言葉を遮るように聞こえた、漫画みたいなタイミングで現れた声。
「あ、おばあちゃんだ」
彼女はすくっと立ち上がった。
「ごちそうさまでした。あと…」
考えるようにして彼女は言った。
「“僕”の方がいいですよ」
そう言い残すと彼女は足早に去って行く。
ーーードクン、ドクン
彼女の後ろ姿を眺めながら
鼓動はさらに速さを増した。



