起きない君との生活は悲しみに満ちていた。

今まで目を覚ました例は一つもなく、いずれ呼吸が止まる。

その瞬間に、僕は今まで何度となく立ち会った。

だけど僕は君がこの世から居なくなる瞬間が、上手く思いえがけない。

どうすれば、

どうすれば、

どうすれば、

君は目を覚ますのかな?

僕は君の膨大な資料を読みあさったり、君の研究室にいりびたったりしながら、その可能性を探った。

そして、見つけた。

語りかける声に、意識が反応することがある。

君の見慣れた文字。

少し癖のある丸みを帯びた字。

思い出に反応する。

だから、僕は君に物語を聞かせる事にしたんだ。

僕と君との物語。

これからも続く物語。

君が目を覚ますその日まで、

何度でも

何度でも

僕は君に聞かせよう。

そして、目を覚ましたら今度こそ言おう。

おはよう、って。