葵side                                      「葵ちゃん! 好き。付き合って。」
    
いやいや、ちょっと待った。なぜに私なの?

私、この子のことまったく知らないんですけど。

……ん?でも、どっかで見たことがあるよーな気も……

「あーーーーっっ! あ……あなたって、もしかして……その、あの時の?」

私の言ったあの時っていうのは、この間の昼休み。私は、昼休みに屋上で本を読んでた。もちろんだけど、一人のほうが気楽でいい。……だって私は男子からいじめられているから。女子も助けてくれないし、男子だって、いじめてこない人もいるけど、見て見ぬふり。

だから、私は男子が苦手。

なのに、屋上で昼休みを過ごしていたら一人の男の子が屋上に来た。

それに気づかずに本を読んでいた私は、後ろから声をかけられた。

「ねぇ、……君が、藤堂葵ちゃん?」

ピクッ

私は男子から話しかけられることもダメ。だって話すのは、いじめられるときだけだから。

「あーっ! もしかして、俺のこと怖がっちゃってる的な? だったらゴメンね。でも、大丈夫。俺は君を助けに来たんだ。」

一瞬何を言ってるのかわからなかった。だから、無視してしまった。

「……」

すると、その男の子は、何も言ってないのに勝手に自己紹介をし始めた。

「俺の名前はね、藤崎透。君と同じ高校1年生だよ。」

その時の男の子の笑顔は確かに今、目の前にいる男の子と同じものだった。

私が、言った質問が分かったみたいで、あの時と同じ笑顔でこう答えた。

「うん、そうだよ。俺は藤崎透。君のことずっと助けたかった。……だから、助けるために、仲間を集めたんだ。……じゃ、今日の放課後にこの紙に書いてあるところに来て。」

「え……でも、……」

私が戸惑っていると、藤崎君は、私の耳元でこう言った。

「……葵ちゃんに拒否権ないから。」

「---っ!///」

私の反応を楽しむかのように、こっちを見る藤崎君。

だから、というわけじゃないけど、勢いで言ってしまった。

「だったら、行ってあげる。でも、私は男子がこの世の中で一番嫌いだから。」

でも、そうやって私が言うと、藤崎君はいきなり笑い出した。

「あっ……葵ちゃんって、ほんっと面白いね。」

私?どこが面白いんだか。やっぱ、藤崎君って変わってる。私のこと好きだとかいうし、私は面白くもないし。

そう考えていると藤崎君は、

「んじゃ、俺のこと好きなの?」

そんなことを言ってくる藤崎君

す…き?

好き?

「なっ!///なんでそんな風になるのよ。」

私とは正反対で冷静な藤崎君。

「えー? だってさっきから俺と話してても、全然逃げないし。……そんなに好きなの?」

「そ……そんなこと絶対ないっ!」

「ふーん。……ま、いいや。ちゃんと、その紙の場所に来てよね。」

そう言うと藤崎君は空き教室から出て行った。

そういえば……場所ってどこなんだろ。とりあえずみてみよう。

カサッ

私は思いっきり叫んだ。それはもう、校舎中に響き渡るくらいにね。

「はーーーーっ!?」

だって、場所が場所だし。てか、嘘でしょ。男子となんか約束しちゃった。しかもその場所が……藤崎君の家だなんて。