記憶の欠片

「隣、まだ来てないみたいだねぇ。」


瀬那が椅子と体ごと私の方に向け、机に頬杖をつきながら呟いた。


「だねぇ、初日から遅刻なんて尊敬に値するよ 。」


入学初日、そんな大事な時に遅刻。

わたしには全くご縁がないね。
考えられないもん、遅刻なんて有り得ない。

真面目とか、優等生とかよく言われるけど、そんないいもんじゃないしね。

ただ単に、先生とかから注意される事だけに私の精神力その他を消費されたくない。
説教のためになんでそこまでしなくちゃならんのだ。
だから、そういうことはしない。
ただ、それだけのこと。深い意味はない。


「そろそろ、式の時間じゃない?」


ふと時計を見ると8時30分を示す針。


もう、こんな時間なのね。
楽しい時間は本当に早く過ぎる。


「おーい、お前ら席に着けー。」

緩い口調で、
男の先生が入ってきた。

きっと担任であるう、その人は20代後半に見える。


口調も緩いが、格好もなかなか緩い。
スーツを緩ーく着ている。


「このクラスの担任になる、佐野剛だ。
 まぁ、よろしくなぁー」


緩い。緩すぎる。


「先生~。緩すぎぃ~!」

私と同じことを思ったクラスメイトの1人が
佐野先生に的確な指摘?を入れた。