太陽の光が赤い夕日に変わるまで2人はその場に座り込んでいた。




「ねぇ、そろそろ帰らないとお母さんが心配するよ」

「だってまだ見つかんねぇんだもん!」




イノリは必死になってクローバーを探している。


暫くすると子どもの帰りを促す放送が響きだした。





「明日も学校なんだから帰ろうよ。祭ちゃんが心配するよ」

「嫌だ。見つけるまで帰らねぇ」



キヨはため息をつくと、自棄になって探すイノリにクローバーを差し出した。





「これイノリにあげる。冠のお礼だよ。だから帰ろう」



イノリは不服に思いながらも、キヨからクローバーを受け取りキヨの手を繋いだ。




その瞬間――。


強い風に、キヨの花の冠とイノリのクローバーが吹き飛ばされた。



呆然と立ち竦む2人の上から、風に舞った花が降り注ぐ。




「あはは!ビックリしたねっ!!」

「あーあ。折角の力作が…。まぁいっか。綺麗だし」




花舞う場所で2人は笑っていた。