「キヨ?帰ってるの?」




キヨを捜しに行っていたケンが家に帰ってくると、風呂場から凄い水の音が聞こえるのに気付いた。



不審に思ったケンが風呂場へ行くと、手首から血を流して浴槽にもたれているキヨがいた。




「――っ!?キヨっ!!!!」



青ざめたケンがキヨを抱き上げると、キヨはぐったりとして動かない。

息も薄かった。




ケンはキヨの手首にタオルを縛り止血すると、すぐに救急車を呼びキヨと共に病院へと向かった。



キヨに巻いた白いタオルはすぐに真っ赤に染まった。






「ケン!キヨは!?」



ケンから連絡を受けたカゼとカンナは、指定された病室へと駆け込んできた。



病室には涙を流しながら青ざめるケンと、血の気のない顔で眠るキヨがいた。


キヨの手首には分厚い包帯が巻かれている。





「………キヨの容態は?」


「傷は残っちゃうみたいだけど…目が覚めれば大丈夫だって」


「………よかった。でもなんでこんな事したんだろう」


「…俺が…ちゃんと見てなかったからだ。キヨを1人にしたからっ…」


「やめて。ケンのせいなんかじゃないわ。きっとキヨは、どうしていいのかわからなくなってしまったのよ…」




カンナは震えるケンの肩にそっと手を置いた。






「………イノリには知らせた?」

「うん。多分そのうち来るよ。キヨが自殺しようとしたって電話で伝えたら、凄く動揺してたから」




3人がキヨを見つめていると、遠くで誰かが走っている足音が聞こえてきた。

足音は次第に近付いてくる。




「…キヨ!!!!」



足音の主はイノリだった。




息を切らし、青ざめたイノリは白い顔のキヨに近付く。