祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

キヨが落ち着くまでその体勢のままでいたイノリは、キヨの部屋に転がっているぬいぐるみを手に取った。




「懐かしいな、これ。まだあったのか。随分汚れちまったけど」


「イノリが初めて誕生日プレゼントでくれたぬいぐるみだよ。覚えてる?」


「あぁ。キヨが1人じゃ寝れないって言ってたから俺が作ったやつだろ。幼稚園児にしては上手く出来たよな」


「大半は祭ちゃんが作ったんでしょうが」


「それを言ったらダメだろ!」




イノリは懐かしそうにぬいぐるみをフニフニといじっていた。




「そんな事よりどうした?何があった?」



イノリは床にぬいぐるみを置くとキヨを見る。



キヨがイノリから目を逸らすと、イノリはキヨの顔を両手で掴み無理矢理向かい合わせた。




「お前は俺には隠し事をするな。したらダメだ」

「…隠したいワケじゃない。ただ…言いづらいの」

「何が?俺にもか?」




キヨは躊躇しながらも真剣な目で見入るイノリに話し始めた。





「昔、今日花火した土手でみんなで星にお願い事したでしょ?その時カゼね…お兄さんが死ぬ事を祈ったんだって」

「だから?」

「だからって!何も思わないの?」




イノリは頷いた。