祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

カゼが縁側で俯いていると、キヨ達がやってきた。




「カ〜ゼ。なんだ寝てないじゃん。ほら花火しに行こうぜ」

「…カゼ?何か元気ないけど大丈夫?」




連れて行こうとカゼの腕を引っ張るケンをよそにキヨはカゼの顔を覗き込む。




「………大丈夫。花火しようか」



カゼは立ち上がるとキヨの頭をポンと叩いて歩き出す。


息を切らしながらやってきたカンナとイノリ。

5人は並んで歩く。




月明かりがデコボコに5人の影を地面に映していた。




「変わらねぇな、この土手も」

「ね。ここは1番星がよく見えるしね」



5人は暫く夜空を眺めていた。




「あっ!火持ってくるの忘れた。バケツも」

「煙草置いてきちまったからライターもねぇや」

「じゃあ私が持ってくるよ。みんな待ってて」




キヨはそれだけ言うと走って家へと向かった。



バケツとライターを持ったキヨが家から出ると、門の前でカゼが待っていた。




「カゼ?どうしたの?まだ何か必要な物あった?」

「………ない。キヨ1人じゃ危ない」



カゼはそれだけ言うとキヨが持っているバケツを持ちながら歩き出した。




「カゼは優しいね。こんな田舎だから誰もいないから大丈夫なのに」

「………誰もいないからこそ危ないんだよ」

「ふふっ。そうだね、ありがと」




キヨが嬉しそうに空見ていると、カゼもつられて空を見上げる。



都会とは違い、沢山の輝いている星がよく見える。





「………キヨ。俺があの時願った願い聞きたいか?」

「ん?あっ、そうだね。地元に帰ったら教えてくれるって言ってたもんね」



キヨが呟くとカゼは立ち止まってキヨを見つめる。


カゼの瞳は今にも泣きそうに儚く揺れていた。