祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

その頃、カゼはバーベキューの匂いが残る庭の縁側で1人、月を眺めていた。




「………今日もあの頃と同じくらい…星が出てるな」



カゼが黄昏ていると、後ろから声を掛けられた。





「帰ってきてたのか」

「………おかえり、兄貴」



後ろに立っていたのはカゼの兄、倉木 海(くらき うみ)だった。


カゼは兄の薬指に光る結婚指輪を悲しそうに見つめた。




「お前はまだ美咲をたぶらかしてるみたいだな」


「………兄貴には関係ないだろ。義姉さんの旦那は兄貴なんだから俺はただの代わりだ」


「当たり前だ。お前なんかに美咲が本気になるかよ。お前は顔だけしか必要とされてないんだよ!」




海はそれだけ言うと嘲笑いながらカゼのいる部屋から出て行った。





「………星。あの頃かけた俺の願いを…早く叶えてくれよ」



カゼは拳を握り締めながら震えていた。


満天の星たちはそんなカゼを見つめていた。





同じ背格好のウミとカゼ。

見た目が似ている2人は愛する女性までも同じだった。