祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

イノリとキヨはぶらぶらと田んぼ道を歩いていた。




「どこ行くの?私、食べてる途中だったんだけど」


「お前さぁ!もっと警戒心持てよ!!抵抗するとかひっぱたくとか色々あんだろ!」




イノリは足元に転がっていた石を思い切り蹴飛ばした。




「なんでイノリがそんなに怒るのよ。私が誰と何しようがイノリには関係ないでしょ」

「関係あんだよ!」

「はぁ!?何でよ!!」




キヨはイノリの前に駆け寄り、顔を覗く。


月に照らされたイノリの顔は真っ赤だった。




「……?何赤くなってるのよ」

「うっせぇ!黙ってろ、バカ」

「バカって…。ちょっと待ってよ。イノリっ!!」




キヨは足早に歩いていくイノリを追い掛けた。





夏に向かいつつある季節。

2人が歩く田舎道に生ぬるい風が草の匂いを乗せて吹き抜ける。




「…イノリはさ、好きな人いないの?」

「さぁな。知らねー」

「知らねぇって…自分の事でしょ!」

「自分の事は1番自分が理解しているようで、1番わからないもんだ」




イノリはどこか寂しそうな顔で空を見上げた。


いつも勝ち気で強いイノリにしては珍しかった。




2人が無言のまま立ち竦んでいると、ケンとカンナが駆け寄ってきた。