祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

「早く結婚しちゃえばいいのに、祈と美月ちゃん。私は美月ちゃんならお嫁さんに来てくれるの大歓迎よ」


「何で俺がこんな奴と結婚しなきゃならねぇんだよ!!」


「あんた1人息子なんだから、ちゃんとした子がお嫁さんじゃなくちゃ嫌よ。だから美月ちゃんがいいの♪」




イノリの母はキヨの手を握りながらニコニコと微笑む。




「それより俺はキヨに話あんだよ。お袋は邪魔だ!」


「はいはい、邪魔者は退散しますよ。美月ちゃん、また後でね」


「うん、祭ちゃん。また後で話そうね」




イノリの母親と別れ、2人はイノリの部屋へと向かった。



東京に部屋の荷物を運んでしまった為、イノリの部屋は殺風景。




「祭ちゃんはいつまで経っても変わらないね」


「若作りも甚だしいぜ、全く」


「私も祭ちゃんがお姑さんだったら嬉しいな。楽しそう」


「言っとくけど俺は絶対お前とは結婚しねぇからな!」




イノリの言葉に胸の痛みを感じたキヨは目を潤ませる。




イノリが自分をそういった対象で見ていない事など、小さい頃からわかっていた。

だけど改めて言われると傷付く。




沈んだ表情をするキヨに気付いたイノリは頭を掻きながら呟いた。




「…まぁあれだ。お前が行き遅れて、俺を拝み倒すのなら貰ってやらなくもねぇけど」


「そんな同情してもらわなくても結構です!私はイノリなんかよりずーっとカッコ良くて、ずーっと優しくてずーっとお金持ちの人と結婚するんだから!!」



キヨはプイっとそっぽを向いた。





「俺以上の男なんて存在するわけねぇだろ、バカが」



本当にその通りだよ。

私には昔からイノリ以上の人なんていないもの…




キヨはそう思いながら、切なそうにイノリを見つめた。