花鳥風月の地で育った彼ら。


綺麗な自然の中で
花は咲き誇り
鳥は囀り
風が吹き渡る。

そしてその世界を儚く光る月が照らす。




『永遠』って言葉が本当にあるとしたら

この風景の事を言うのかもしれない。





5人の思い出が刻まれる場所で星に祈る女がいた。


女の首に下がったネックレスが、月の光に反射して輝いている。




「キヨ、またここにいたのか」

「イノリ!」



星を眺めるキヨの元へイノリが駆け寄ってきた。




「本当お前はここが好きだよな。新婚旅行どこ行きたいって聞いたら、まさか『地元!』って言われるとは思わなかったよ」

「だってここが1番好きなんだもん」



キヨはイノリの腕を掴む。




「イノリと結婚するって報告した時の祭ちゃんの喜びようが凄かったよね」

「お袋は昔からキヨが好きだったからな」




今日の空は、初めて5人が願いをかけた時のように零れ落ちそうなほど、星が引き詰まっている。




「祈ってたんだ。ここの星は願いを叶えてくれるから」

「何を願ったんだ?」

「ん?内緒♪」




キヨはイノリを見つめると、ゲヘヘと笑いながら首を横に振った。