お互いの両親に挨拶を終え2人がキヨの家を出ると、後ろから華月がやってきた。



「祈!美月!!ちょっと待って」

「ん?何、お姉ちゃん」



2人は華月を見る。




「…本当にごめんなさい。私のせいであなた達を遠回りさせてしまった。私は反省してもし足りないわ」

「お姉ちゃん…」



涙を瞳に溜めて2人に頭を下げる華月。




「…お姉ちゃん。私もイノリも何も怒ってないよ?きっとお姉ちゃんの事がなくても、私とイノリは遠回りしていた。大切過ぎて恐くて踏み出せないままでいたはずだよ。

…逆にお姉ちゃんの事があったから、どれだけイノリが好きなのかって気付けたんだよ。ありがとう、お姉ちゃん」



キヨがニッコリ微笑むと、華月は声をあげて泣き始めた。


長年、つっかかっていた罪悪感と後悔から解放されて泣かずにはいられなかった。




「ごめんなさいっ…本当にごめんなさい!!」

「…華月。ごめんなさいじゃないだろ?今日お前が俺達に言う言葉は“おめでとう”だ」



イノリとキヨが華月に笑みを向けると、華月は鼻を啜って呟いた。




「…あなた達は優し過ぎよ。不憫なくらいにね。でもそんなあなた達だから…幸せになれるわ。おめでとう…美月、祈」



羨ましい程に昔からイノリという存在に大切に愛されてきたキヨ。


そしてカゼ、カンナ、ケンという家族のように当たり前にそばにいてくれる幼なじみがいるキヨ。



華月は昔からそんなキヨが羨ましくて憎かった。

だから過ちを犯した。




でも今は羨ましいとか憎いとか、そんな感情などない。


ただ純粋に心から、可愛い妹の幸せを願っている。



あんなに狂っていた自分の心も少し綺麗になった気がした。