イノリの両親に挨拶をし終えた2人はキヨの両親の元へ向かった。


キヨの家に入り、リビングに向かうとそこにはキヨの両親と華月が座っていた。




「いらっしゃい、祈くん。それに美月」

「ご無沙汰してます」



イノリはキヨの両親に頭を下げると、キヨと共にソファに腰を掛けた。




「あの、単刀直入に言いますが美月さんと結婚させて下さい。俺には彼女が必要です」



改まった言い方をするイノリに笑うキヨ。




「祈くんは美月と風くんの事知ってるのかしら?」

「…っ!?お母さん!?」

「美月と共にいたいなら、全てを知っててもらわないとね」



キヨの母はイノリを見る。





「知ってますよ、何もかも。キヨがカゼとそうなったのも俺のせいだという事も知ってます。

俺はキヨを振り回した。自分の勝手な意志とワガママで1番大切な彼女をたくさん傷つけてきました。何よりも大切なんだってずっと物心ついた頃からわかってたのに。

…でも後悔はしてません。だって…こうやってちゃんとキヨの元に戻ってきたのだから」



イノリの言葉を聞いたキヨは口元を押さえて泣き出した。


キヨの両親と華月は優しく微笑みながらイノリを見つめる。




「ありがとう祈くん。美月は昔から本当に祈くんが好きだった。昔と変わらず、あなたに甘えてばかりいる美月を宜しくね。見離さないであげて」


「大丈夫。もう慣れましたから」




イノリが柔らかく微笑むとキヨはイノリの肩を叩いた。




「慣れたって何よ!失礼ね」

「甘ったれで泣き虫なお前のままでいいって事だ。…お前を泣き止ませられるのは俺しかいねぇからな」



イノリはキヨの涙を指で拭った。



小さい頃からお互いを想い合う2人の結婚を反対する者など、この世にはいない。