祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

「は?何だよ!!キヨの真似でもしてんのか!?」


「抱いて。誰にも言わないから」


「バカ言うな!お前はカゼが好きなんだろ!?…俺はもう…愛していない女を抱いたりなんかしない」


「キヨでも?」




キヨという言葉に反応するイノリ。

カンナはそんなイノリを見て笑い出した。




「あはは!やっぱり好きなのね、キヨの事。なんでその気持ちを伝えないのよ」


「…っ!!お前、俺を試したな!?カンナが抱けとか言うなんておかしいと思ったぜ」


「当たり前でしょ。私の身も心もカゼのものよ。まぁもっとも、カゼは私をそんな目で見てくれないけど」



イノリは煙草をくわえると火をつけ、ふかした。




「イノリ、キヨが不安がってるわよ。いつかイノリがいなくなってしまうんじゃないかって」


「何、バカな事を」


「いつか5人それぞれに大切な人が出来て、離れていってしまうのが恐いんだと思う。そんなキヨの不安を取り払えるのはイノリだけよ」


「そうは言われてもな。俺はキヨに何もしてやれない。…そばにいてやる以上は何もしない」


「それは何故?」




カンナの問い掛けにイノリは答えなかった。

答えられなかったのだ。




カンナが華月との事を知っているなんて思ってもいなかったから。