祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

2時間後。

キヨが1人でカフェで待っていると、煙草をくわえたイノリがやってきた。



「お疲れ様」

「あぁ。疲れた」



イノリはキヨの隣の席に座ると、首をパキパキと鳴らした。




「…何かさ、都会って便利だし人も多いから出会いもいっぱいあるけど…何か寂しいっていうか、息苦しいよね」


「まだホームシックなのかよ。まぁ確かに、地元は何もねぇし人もいねぇけど、心は安らぐよな」



キヨが寂しさや不安を覚えるのは、都会の雰囲気のせいじゃない。



沢山の人がいるこの場所で、いつかイノリが大切な人を見つけ、自分から離れていきそうで恐かったから。



イノリだけじゃなく、他の3人もいつかいなくなる。

それが恐かった。





都会という賑やかな空気が、冷酷に5人を引き離そうとしているようで恐かった。




キヨが俯いているとイノリは煙草の火を消し、優しくキヨを抱き寄せた。




「…イノリ?」


「何不安がってんだよ。俺は環境が変わったからって離れて行ったりしねぇよ。お前がいる間はな」

「……じゃあずっとだよ。死ぬまで離れていけなくなるよ?」

「別にそれでも構わねぇよ。お前の面倒見れんのは俺しかいねぇからな」



告白かプロポーズにも聞こえるイノリのセリフ。


しかしキヨはただの優しさなのだと思った。