祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

キヨが納得行かなそうに顔を膨らませると、カゼが2人の元へやってきた。



「どうしたの、カゼ」

「………うん。キヨくらいが1番抱き心地がいいね」



カゼはキヨを後ろから抱きしめると、キヨの髪に頬擦りをした。


カンナはこの時、少し太らねば!と決意したらしい。




「カゼは優しいね♪……イノリと違って」

「何だと!?てか、いつまでくっついてんだよ、カゼは!早く離れろっ!!」

「………もうちょっとだけ」

「ダメだ!今すぐ離れろ!!」



カゼは渋々キヨから離れると、帰る準備をし始めた。

イノリとキヨも支度をする。




「忘れ物はないわね?」

「うん、大丈夫だよ。写真も撮ったし、思い残す事はないよ」

「また夏にでも来ればいいしね。じゃあ行きましょうか」



5人は荷物を持つと靴を履き、部屋を出た。





この旅行は5人にとって初めての旅行であり、上京する前の思い出作りだった。



これから始まる新生活に胸を弾ませ、今と何も変わらない綺麗な日々を想像していた5人。




その考えは、上京してから3年後に翻される事になるとも思わないまま…。