祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

白い砂浜には、キヨとカゼの足跡が平行線に刻まれていた。




「〜♪〜♪」



カゼはキヨが口ずさむ懐メロに心地よさを感じていた。




「………キヨは優しい声で歌うよね。好きだな」

「ありがとう♪私もカゼのゆっくりしたその話し方好きだよ」

「………ゆっくり話してるつもりはないんだけど」



カゼとキヨは浜辺に座ると、砂山を作り始めた。




「昔よくみんなで、公園の砂場で砂山作って遊んだよね。その山を最後に踏んづけて壊すのが楽しかったなぁ」


「………うん。楽しかったね」


「これからも5人でいられるから楽しいんだろうなぁ。…でもたまに不安になるんだ。こんなに幸せだと失った時の事を考えると恐くてたまらない…」



カゼは思った。

イノリがキヨを手に入れようと思わない1番の理由は、これなのだと…。





「………大丈夫。俺らはずっとキヨといるよ」


「でも、大学卒業して就職して結婚したらみんな別々になっちゃうよ。…いずれはサヨナラなんだよね。当たり前だけど」


「………じゃあ俺と結婚する?そしたらずっと一緒だよ」




カゼの言葉にキヨは目を見開いたまま、真っ赤になった。

そんなキヨを見てカゼは笑う。




「………ふっ。冗談だよ。キヨには昔から心に決めた王子様がいるからね。……あ。王様か」




カゼが笑いながらそう呟くと、キヨは顔を膨らませながらカゼの背中を叩いた。