祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

日がゆっくりと高くなると、冷え切っていた空気も緩和してきた。



「海の匂いっていいね♪新鮮」

「………ワカメの匂いがする」

「潮の匂いって言ってよ!ワカメって…おみそ汁の中にいるわけじゃないんだから」

「………みそ汁の中…。いいね」

「何が!?」



お洒落なオープンカーで色気も何もない話をする2人。



キヨは金色のメッシュが入った長めの黒い髪を風に靡かせているカゼの綺麗な顔を見つめた。



「…カゼって本当にカッコいいよね。王子様って感じ。女の子みたいな顔してる」

「………そう?俺は………この顔が嫌いだよ」

「え?なんで!?そんなに整ってるのに?」



カゼは兄とそっくりな顔が大嫌いだった。


鏡に見る度、兄を見ている気がして嫌で仕方なかった。




「………イノリの方がカッコいいよ。力も強いし男らしい」

「イノリは王様って感じだよね。あの俺様っぷりが」

「………確かに。独占欲も強いしね。素直じゃないけど」



イノリの話に花を咲かせた2人は、車を海岸に止め浜辺を散歩する事にした。



まだ朝早い時間帯の為、人も車もなく海鳴りだけが響いている。