祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

イノリがやっと眠れそうになった頃、キヨが目を覚ました。



「…ノリっ!!イノリ!!」

「んぁ〜?…何だよ朝か?」

「違うよ。まだ2時だもん。…あのね、トイレ行きたいんだけどついてきてくれる?」

「はぁ!?便所くらい1人で行けよ!俺は眠いんだ」

「やだ!恐いの!!」



キヨはもぞもぞしながら首を横に振る。




「イノリ!漏れちゃうよっ!!」

「あーもう!!仕方ねぇな」



イノリは渋々起き上がると、キヨの手を引いてトイレへと急いだ。


部屋ではカゼとカンナ、そしてケンが寄り添いながら眠っている。




「ふぅ、すっきりしたらお腹空いた」

「お前酒飲んですぐ酔っ払ったから、ろくに飯食ってねぇもんな」

「そうなの?ビールが苦かったと思った所から記憶がない」



イノリはその言葉を聞いて少しホッとした。




「俺がいない所では酒飲むなよ」

「ん?なんで?」

「なんでもだ!!」



すっかり目が覚めてしまった2人は、寝静まった部屋の窓に立ち、外を眺めていた。




「夜の海って静かなんだね」

「あぁ。月明かりが射してて綺麗だな」



闇に支配された黒い海に射す儚い光。


山ばかり見て育った2人には、その光景が神秘的だと思った。