するとキヨは嫌々と首を振ってケンを突き飛ばすと、イノリの足の間に戻った。



突き飛ばされたケンはロッカーから落ちた。




「痛いよ〜!!キヨ酷い」

「ケンが悪いわよ。キヨはイノリがいいんだから、無理に取らないの」



子どもを叱る母親のような口調で話すカンナ。


ケンは納得のいかない顔で拗ねていた。





「………腹減った」

「あら、起きたの?カゼ」



カゼはムクッと起き上がりカンナに頷く。

するとカゼのお腹が鳴った。



「じゃあ教室で写真撮ったら帰ろうか?」

「俺、屋上でも撮りたい」

「よし、全部回ろうぜ」



5人は思い出の残る高校の至る場所で写真を撮ると、名残惜しい気持ちを感じながら学校から出た。


薄暗くなった道を並んで自転車を走らせる5人。




「何か食べて帰る?」



キヨは4人に問うとカゼが思い切り頷いた。




「どこ行く?やっぱりいつものラーメン屋さん?」

「卒業式なんだからもっと豪勢にいこうぜ♪」

「………じゃあラーメンにチャーハン付けよう」

「いや、そうじゃなくてね…」




ラーメン屋より豪華な店の話をしていたケンだが、カゼはラーメン屋に行く気が満々のよう。