祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

いつからだったのかな?



長い間共に歩いて来た道は大きくて壮大な一本道だったのに

いつの間に分かれ道まで歩いて来ていたのだろう。




楽しくて、幸せで、一緒にいるのが当たり前過ぎたから気付かなかったんだね、きっと。





キヨはそんな事を思いながらケンの首に抱きついていた。


ケンも啜り泣きながらキヨを抱きしめる。



そんな2人を見つめながらカゼが呟いた。



「………ケンも東京行こう。まだ決めてないんだろ?」

「そうだけど…でも俺っ…」

「………迷うな」




カゼはそう言うと、ケンに抱きついているキヨをケンから剥がし後ろから抱き上げた。

カゼはそのまま歩き出す。




「カゼ!なんで東京の大学にしたんだよ?地元にだって大学あるのに」

「………東京は憧れる。地元もいいけど、新しい所で生きてみたい」

「そっか。カゼらしいっちゃカゼらしいね」



ケンはマフラーを風に靡かせながらカゼの後ろを歩く。


すっかり日が沈んだ暗い道を歩く3人を月が儚く照らしていた。





ケンと別れたキヨとカゼ。


キヨは家の前でカゼは降ろしてくれるものだと思っていたが、カゼはキヨを抱き上げたまま家を通り過ぎた。



「……?カゼ?どこ行くの?」

「………土手」




2人は星がよく見えるいつもの土手にやってきた。