祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

「………泣かなくていい」



カゼはキヨを体から離すと額をくっつけた。

額に熱が集中する。



「………キヨはどこの大学行くか決めた?」

「まだ。…みんなと同じ所行きたいと思ってたんだけど、みんな口に出さないから…。いつまでも甘えるなって事かな?」



このままズルズルと幼なじみという存在に依存して、甘えていてはきっとダメだ。

そんなのわかっている。




でも甘えないから
依存しないから

ただ一緒にいて欲しいだけ。



5人でいる事は、この世の何にも代え難い幸せだから…




「………甘えろ。キヨは甘えていいんだよ。それがキヨだ」

「カゼ…」

「………俺、東京の大学受ける。キヨも一緒においで」



カゼがそう言うと、キヨは顔をしかめながら大量の涙を流した。




自分の将来の事なのに、5人の繋がりに縋って自分の意思を持たず、甘える事は嫌がられると思っていたから。


だからカゼの言葉が嬉しかった。




「………これからも一緒にいる。だから大丈夫」

「カゼっ…カゼ!ありがとうっ」

「………うん。泣き虫なキヨを1人に出来ないからね」



カゼはキヨの両脇を掴むと、キヨを抱き上げて立たせた。




「………寒いから帰ろう」




手を繋いだ2人が風が吹きつける田んぼ道を歩いていると、ケンが反対側からやって来た。