祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

イノリとだけじゃない。

カゼともカンナともケンとも離れたくない。


大人になってもずっと5人でいたい…





なんであんなに一緒にいたのに
今もこうして一緒にいるのに


どうして別れ道を選ばなくてはいけないの?





5人の繋がりは深く強い。


でも卒業して離れて連絡も次第に取らなくなり、それぞれが知る事のない新しい人生を歩み出したら


私の存在なんていつか忘れてしまうのだろう…




キヨはそう思うと涙が止まらなかった。




「………落ち着いた?」

「カゼっ…。カゼも私から…離れて行くの?」



キヨは抱き締めてくれているカゼの首に顔を埋める。

カゼは香水の匂いがした。




「………離れて行かないよ」


「嘘だっ!だってきっと、みんな別々の進路を選ぶもん!!離れて行っちゃうんだ」


「………俺がいつ離れるって言った?離れて行くのはキヨだよ」


「私は嫌だ!カゼともカンナともケンとも……イノリとも離れたくない!一緒にいたいのにっ…うぁぁぁぁん!!」



キヨが大声で泣き出すと、カゼは優しく微笑みながらキヨの背中をさすった。




「………キヨ、俺達はキヨが思ってる以上にキヨを大切にしてる。だから大丈夫。絶対に大丈夫」

「ひっく…うっ……カゼ」




別れるのが恐いのはキヨだけじゃない。


5人の存在を大切にしてきた5人全員がそれを恐れている。



恐れる気持ちが心を臆病にさせ、本音を口に出来なくさせていた。