祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

木枯らしが吹きつける畦道。


かじかむ手で溢れ出る涙を拭いながら、冷たい風が吹くその場所にキヨはしゃがみ込んでいた。




「………キヨ?」



名前を呼ばれたキヨが顔を上げると、目の前にコートやマフラーで着膨れたカゼが立っていた。


カゼはキヨと同じ目線に屈むと、キヨの顔をまじまじと見つめる。




「………何で泣いてるの?何かあった?」



カゼはコートしか着ていない寒そうな恰好のキヨに、自分が巻いていたマフラーを巻き付けた。




「………寒くて泣いてた?」



キヨが首を横に振ると、カゼはポンポンとキヨの頭を撫でた。



こんなに優しいカゼとももうすぐ別れなくてはならないのか…と

寂しさが込み上げてきたキヨはカゼに抱きついた。




驚いて尻餅をついたカゼだが、震えるキヨを強く抱き締めた。