「お前は男って生き物を知らな過ぎる。男は女なら誰とでも出来るんだよ。カゼはモテるからな、体だけの女が何人かいたんだよ。男は一度あの快感を覚えたらもうダメだ。

…お前も気をつけろよ。あんま人懐っこいと変な男に引っ掛かるぞ」


「イノリがそばにいるから大丈夫だもん」


「……いつまでも…いれるわけじゃないだろ。……これからは」



イノリの言葉を聞いたキヨは、胸がえぐられるような気持ちになった。




イノリは私と同じ進路を歩みたいとは望んでない。

イノリは私と別々の道でもいいと思っている。



キヨはそう思うと涙が込みあげてきた。





「は?何で泣いてんだよ!?…そんなにカゼが童貞じゃないのが嫌なのか!?」



キヨは首を振る。





離れて行かないでって言いたい。

私を置いていかないでって…



イノリが困るくらい
泣いて
泣いて
泣いて引き止めたいよ。



でもそんな資格、私にはない。







キヨは涙を拭い、話題を変えた。



「…っ…イノリはどうなのよっ。カゼと同じように…彼女でもない人としたの?」



キヨの質問に、イノリはピクッと反応する。