キヨはイノリと同じ大学に行きたいと思っていた。

イノリとは絶対に離れたくなかった。



イノリとは頭のレベルもさほど変わらない。


だからイノリの希望校なら受かると思っていたキヨだが、イノリが受ける大学を口にしない為、キヨも進路が確定出来ないでいた。




キヨはイノリの進路が気になって勉強が身に入らない。


気分転換にイノリの部屋を物色すると、ベッドの下に怪しい雑誌が隠されている事に気付いた。



「やだーっ!何これ。イノリも男なんだね」

「ばっ…!人の部屋を漁るな!!」

「照れない照れない♪男の子ならみんな見るもんね、こういう雑誌」



赤くなるイノリに意地悪そうに笑うキヨ。




「ケンはこういう雑誌とかDVD持ってそうだけど、カゼはHな事に興味無さそうだよね」


「そうかぁ?興味ねぇ男なんていねぇよ。それに俺ら男3人の中で、1番始めに童貞卒業したのカゼだからな」


「えーっ!意外。…てかカゼって彼女いた事あったっけ?」


「カゼもケンも俺も、彼女作った事ねぇよ。カゼはカンナと、俺は何故かキヨと付き合ってるっていつも周りから勝手に暗黙の了解されっからな」



イノリはテキストを綴じるとポキポキと首を鳴らす。



イノリがキヨを見ると、キヨは眉を寄せて何かが腑に落ちない顔をしている。




「何だよ」

「だってさぁ、彼女いないのに何で童貞卒業出来るの?おかしくない?」



大人の世界をよく知らないお子様なキヨ。


イノリはため息をつくと仰向けに倒れ、天井を見つめた。