祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

そんな昔と変わらないあどけない顔で眠るキヨを、イノリは抱きしめた。



「……っ…。取られたくない。お前を誰にも渡したくねぇよ。でも俺にはお前を幸せにする資格も幸せにしてやれる力もない。……キヨ…」



イノリはキヨの頬に手を添えると口を近付けた。




「っ……!!!!」



イノリは唇が触れる寸前で自分の下唇を噛むと顔を離し、キヨの横の壁を殴った。




自分が犯してきた罪。
キヨに触れられない虚しさ。
行き場のない想い。



全てが辛くて泣きたくなった。





「…ん、イノリ?あれ…私寝てた!?」



キヨが目を擦りながら伸びをすると、イノリがキヨの肩にもたれかかってきた。




「どうしたの?…眠い?今日イノリ色々頑張ってたもんね。まだライブ終わらなそうだから寝ていいよ」



キヨは肩に顔を埋めるイノリの頭を優しく撫でていた。




「…おやすみ、イノリ。大好きだよっ………キャー!!」



キヨは小声で呟きながら叫んでいた。



爆音と楽器の振動で、この時イノリが泣いていた事にキヨは気付かなかった。


彼の心の叫びに……。