祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

「じゃあもし、キヨがケンと付き合ったらどうする?」

「…別に構わねぇよ。キヨがケンを好きなら俺は口を出したり出来ない」

「イノリは他に…大切な人でもいるの?」



イノリは一瞬ピクリと反応すると、すぐに平然を装って答えた。




「いねぇよ、そんな奴。…俺にはそんな奴を作る資格がない。だからキヨの事もただ見守ってやるだけでいいんだよ。もう聞くな」



カンナはこれ以上何も聞けなかった。


彼の本心、キヨへの想い、華月との事を聞きたかったカンナだったが、これ以上詮索してはいけないと悟ったのだった。




イノリとカンナは5人分の飲み物を買い、爆音とケンの歌声の響くステージ裏に戻るとカゼがキヨを押し倒す格好で2人は寝ていた。




「ばっ…!カゼ!!てめぇ何してんだよ!!離れろっ」

「………はよ。どうしたの?」



イノリに怒鳴られたカゼは体を起こすと、自分の下にキヨが寝ている事に気がついた。



「………あぁ。だから怒ってたのか。ごめん、座りながら寝たから倒れたんだね」



カゼはキヨを抱き起こし壁に寄りかからせると、立ち上がった。




「………腹減った。何かない?」

「何かって言われても、文化祭は終わっちゃったし食堂はやってないし。…コンビニでも行く?」



カンナの言葉にカゼは頷く。




「イノリ、ちょっとコンビニ行ってくるからキヨお願いね。何か欲しい物ある?」


「いや、特にない」


「わかった。何か適当に買ってくるわね」


「………誰もいないからって変な事しちゃダメだよ」


「んな事するかバカ!!…早く行ってこいよ」




イノリがしっしっと手払いするとカゼとカンナはステージから降り、コンビニへと向かった。