祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

ライブの為、再びステージに戻って行ったケンを見送ったキヨ達はステージ裏でライブを眺めていた。



「イノリ、ちょっと飲み物買いに行かない?」

「珍しいな。カンナがカゼじゃなくて俺を誘うなんて」

「たまにはね。それにカゼなら…ほら」



イノリがカゼを見ると、カゼはキヨと共に壁にもたれて眠っていた。



「あ〜ぁ。ケンがライブやってんのに寝やがって。ガキだな」

「文化祭の後にあれだけ踊ったんだもの。疲れちゃったのよ」



イノリはカンナと共に、食堂の前にある自販機に向かった。




「…ねぇイノリ。ずっと聞きたかったんだけど、あんたはキヨの事を恋愛対象で見てるわよね?」


「は?何だよ、唐突だな」


「そうね。でも気になって。もしそうなら付き合えばいいのに」


「残念ながら違うよ。キヨは女の中で1番大切だけど、恋愛感情なんかじゃない。…彼女なんて響きより大切だから、付き合いたいなんて思わねぇんだよ」


「言ってる意味がよくわからないわよ」


「いいよ、わからなくて」




イノリは苦笑いを浮かべると、カンナから少し離れて歩く。


カンナは不満そうな顔のまま、イノリの後をついて行った。




彼らの関係は、友達以上恋人未満という1番もどかしい地点に位置付けられていた。