祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

「何て顔してんだよ」



イノリにペチッと頬を叩かれたキヨは我に返る。




「…イノリ、あんな事言ってよかったの?彼女出来なくなるよ」

「いんだよ。お前がいる限り、彼女なんかいらねぇもん」

「…イノリぃ〜」



キヨはイノリに背中に抱きつく。


イノリの背中は骨張っていて広くて、男性なのだと感じさせる。




「私っ…離れなくていいの?イノリやカゼの価値が下がるよ」

「バカかお前は。俺の価値は俺が決める。あんな奴らには勝手に言わせとけばいいんだよ」

「でもっ…でもさぁ〜」

「でもじゃない。…お前が俺から離れたりするのなんてぜってぇ許さねぇからな!!
俺だけじゃない。カゼもカンナもケンもそんなの望んだりしてねぇよ。何年一緒にいると思ってんだよ。わかれよ」



イノリはキヨに体を向けると、泣いて苦しそうなキヨの背中をてんてんっと叩いた。




「化粧で顔を誤魔化してるような奴らより、お前の方が可愛いよ。比べ物にもならねぇ」

「…イノリっ」

「何だ」

「お腹空いた…」



キヨがそう呟いた瞬間、キヨのお腹はキュルキュルと鳴った。


その音を聞いたイノリは噴き出して笑った。