祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

「俺らの地区優勝だよ♪すげぇ」

「町内の運動会でこんなに燃えるとは思わなかったわ」



5人の地区が見事優勝を決めた運動会が終わると、5人は会場を後にした。


秋の涼しい風が吹く中、5人は家に到着した。




「キヨ、湿布貼り直して安静にしてなさいよ?」

「うん。そうするね」

「じゃあまた明日ね♪キヨ足痛くなったらいつでも俺を呼んで。マッサージしてあげる」

「ありがとうケン。大丈夫だよ」



キヨはカンナとケン、カゼに手を振った。




「痛くはねぇのか?」

「うん、ちょっとだけ。でも歩けるし、寝れば治るよ」

「まぁ歩けなくても俺が運んでやれば済む事だしな」



イノリはそう言ってキヨの頭を撫でると、家へと入っていった。





イノリは私の事を、彼女という存在よりも大切にしてくれているんだってわかる。


でもそれは幼なじみであるからで、手の掛かる妹という目でしかイノリは私を見ない。



それはずっと昔からわかっていたこと。

今更優しくされたからって期待なんかしない。



“彼女”という名前は貰えなくても、そばにいてくれれば満足だよ。





でもね、イノリ…
最近私はどうかしていると思う。


あの低い声で愛を囁いて欲しくて
あの大きな手で全身を触って欲しくて
あのつり上がった目を細めたあなたの顔が見たくて…



ちっぽけな欲望が次から次に溢れてくるんだよ。



どうすればいいの?



でもこの気持ちを口にして、あなたが離れて行ってしまうのが恐い。

だから言えない。



イノリの声は
イノリの存在は
私を光へ導かせる大切な存在証明だから。


失うわけにはいかないの。





キヨは家に入っていったイノリを見つめながら、そんな事を思っていた。