祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

カゼが戻ってくると、イノリはキヨを抱えたまま自転車に乗った。



「え?抱っこしたまま行くの?」

「大丈夫だろ。そこの小学校までだし」



イノリがヨロヨロと自転車を漕ぎ出すと、3人はその後ろをついていく。


道を埋め尽くす落ち葉がカサカサと音を立てる。




5人は運動会が開催されている母校でもある小学校に着いた。


グラウンドは小学生や保護者、小学校の先生などで賑わっていて、運動会定番の曲が流れている。




5人がグラウンドを歩いていると、小学生の頃の担任教師が声をかけてきた。



「おー、お前ら来てたのか。いやぁ〜それにしても大きくなったなぁ。かんなに風、健斗。そして祈と……祈にくっついてるのは美月だな。大きくなっても祈に甘える癖は直ってないのか」


「コイツまだ寝てんすよ」


「あはは。美月はまだまだ子どもだな」


「お久しぶりです、先生」



カンナは先生に頭を下げた。

男3人も慌てて軽く会釈をする。




「いまだに5人で行動してるんだな。うん、お前らは5人でいないと変だからな。ずっとお互いを大切にしろよ」



先生はそう言うと、5人に軽く手を挙げて自治体が設置したテントの中に戻っていった。




5人は自分達の地区の応援席であるシートの上に座ると、プログラムを確認した。



「私達は…100M走と地区対抗リレーだけみたいね」

「俺、パン食い競争に出たかったなぁ」

「役員の人に言えば出してくれるんじゃない?探してこようか?」

「………俺もパン食べたい」



カゼがそう言うと、カンナはカゼと共に役員を探しに行った。