祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

「キヨ〜♪イノリより俺の方がいいよね」



ケンは嬉しそうにキヨを抱く。

すると次第にキヨの顔が険しくなってきた。



「…ケン、そろそろイノリに返さないと大変な事になるわよ」

「え?何が?」



ケンがカンナを見た瞬間、キヨは喉が裂けてしまいそうな程の声をあげ、泣き出した。



「うぎゃああああああ!!!!イノリぃぃぃ!!!!」



驚いたケンはイノリにキヨを渡す。


イノリはキヨの頭を首元に寄せると優しく揺すぶり始めた。




「…イノリ」

「はいはい、俺だよ。大丈夫だから。安心しろ」

「うぅっ…イノリめ。羨ましいしムカつくけど、何かカッコいいぞ」



3人がキヨを見つめていると、何やらガラガラというタイヤの音と共にカゼが戻ってきた。




「何に使うのよ、それ」

「………誰かがチャリで引っ張って、キヨはこれに乗ればいい」



カゼが持ってきたのはリヤカー。

カンナのおばあちゃんに借りて来たらしい。




「却下だ!!だったら歩いて行った方がマシだ。返してこい!!」



イノリに怒られたカゼは、渋々リヤカーを返しに行った。