祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

「ねぇイノリ。あなたはキヨの…」

「ん?何だよ」

「…ううん。何でもないわ。私が口出す事じゃない」



言葉を途中で切ったカンナにイノリは首を傾げる。


カンナはこの時、イノリと華月について聞こうとしていたのだった。




「…っ…イノリぃ…」

「あ?何だよ。ここにいるから泣くな」



イノリは唸りながらすり寄ってくるキヨをギュッと抱きしめた。




「はい、着替え完了。もう目開けていいわよ、イノリパパ」


「何でパパなんだよ!?そんな老けてねぇぞ」


「キヨをあやすのが上手いからよ。まぁもっとも、キヨがイノリにしか甘えないんだけど」


「そうか?コイツはみんなに甘えてるぞ。カンナにもカゼにも」


「確かにそうだけどイノリと私達じゃ甘え方が違うのよ。本当に心を許して甘えるのはイノリだけ。…わかってるでしょ?」




カンナはそう言って笑うと、部屋の外で待つカゼとケンの元に向かった。