「………キヨは優しいね」

「そうだけど、絶対ダメって言われるわよ?どうするの?」

「内緒で飼う。押し入れに入れておけばバレないよ」



こっそりと5人はキヨの部屋に入ると、押し入れに猫を隠した。




しかしそれから数日後。

小学校から帰ってきたキヨが家に入ると、母が険しい顔をして玄関に立っていた。



「このバカ!なんで押し入れなんかで猫飼ってるのよ!!お父さんにバレたらどうするつもりだったの!」

「…だって…独りで寂しそうだったから」

「だってじゃないの!もう、この子は。…華月に捨てて来て貰ったんだからね」


「――!!捨てたの?…酷いよっ!可哀相だよ!!お母さんのバカぁ!!」



キヨはランドセルを母に向かって投げると、家から飛び出して行った。




「キヨ?どうした?」



キヨを遊びに誘いに来たイノリは、飛び出してきたキヨの手を掴む。




「ふっ…ああああん!!お母さんがっ…にゃんこ捨てたの!!」

「なんだ、バレちったのかよ」

「私が飼ってあげるんだ!独りになんかさせないんだ!!」



キヨはそう言うと猫を探しに走り去った。


イノリはカゼ達を呼ぶとキヨの後を追った。




イノリ達が土手に向かうと、キヨは泥だらけになりながら草むらを掻き分けて猫を探していた。



「キヨ…そんなに猫飼いたかったのかしら」

「………寂しがり屋なキヨだから、野良猫を寂しがらせたくないんだよ」



4人はキヨを見つめた後、一緒に猫を探し始めた。



日が沈み、月が出る時間になっても猫は見つからなかった。




「…そろそろ帰らないと怒られるよ」

「また明日探しましょうか」



4人は猫探しをやめるが、キヨはまだ探し続けている。